不倫シタ夫の「離婚したい」は気圧配置のようなもの。
本当に降るかどうかわからないけれど、低気圧の予報だけは出し続けてくる。
■ はじめに
不倫、冷めた愛情、すれ違う価値観。
感情的に処理するにはエネルギーが要りすぎる。
だから私は、業務の延長のテンションで、夫の行動と心理を観察・分析している。
今回は「離婚したいはずなのに、なぜか行動に移さない不倫シタ夫」というなんとも理解しがたい不可解な現象を、考えてみようと思う。
■ 観測対象:不倫シタ夫(40代・離婚願望あり)
主な観測データ(=夫の発言)
- 「別に君がいやなわけじゃないけど、触れるのも嫌だ」
- 「正直、一人になりたい」
- 「今離婚しても(君が)無理でしょ?子どもの行事と仕事の両立が、時間的にできるのか心配」
- 「(離婚したとしても)必要なお金は出すけど、妻子をさっさと切り捨てるなんてことはしたくない」
- 「結婚して10年以上経つし、情もある」
■ 仮説①:離婚願望と行動のギャップ = 意思決定のコスト超過
行動経済学的に言えば、
夫は「離婚という選択に必要なコスト(心理的・金銭的・社会的)」が、行動の便益を上回ると無意識に判断している。
◆ 離婚するためのコストとは?
- 財産分与や慰謝料 ⇒ 金銭的コスト未知数(俺が悪者)
- 子どもとの関係、世間体 ⇒ 社会的コスト未知数(俺が悪者)
- 書類手続き・引っ越し・説明責任 ⇒ 手間コスト未知数(俺が悪者)
◆ 対して、離婚しないことで得られるもの
- 家事育児を “分担” ではなく、事実上 “丸投げ” できる。(私という全自動育児システムに、メンテもせずアクセス権だけ与えられている管理者不倫シタ夫)
- 現状維持というある意味快適な「ぬるま湯実家状態」をわざわざ崩す理由が見当たらない。 → “実家のような安心感”と“独身のような自由”のハイブリッド型生活
- 自分が有利な立場でいられる(エサを与えなくても、家事育児をせずとも、すがってくる妻構造)
- 財産分与や慰謝料を避けられる(お金を守れる、と信じている)
- 子どもの学校行事や健康管理をスルー(育児放棄)可能
- 妻が全部やってくれてるから、家庭のことも「知らないふり」「忘れたふり」で問題ない。
表1.不倫サレ妻が考える不倫シタ夫の「準定常・快適・擬似独立型家庭内居住モデル」
項目 | 構成要素 | 説明 |
---|---|---|
① | 自然に家事育児が回る | 洗濯・食事・育児が自動処理で稼働中。 |
② | 自分の部屋(自由空間)がある | 専用の趣味部屋。空間と精神の自立感を確保。 |
③ | 社会的に「ちゃんとした人」扱いされる | 既婚バッジで社会的信頼・体裁・親戚対策も万全。 |
④ | 子どもにいい父親ポジション | たまに笑えば「やさしいパパ」。低コスト高評価。 |
⑤ | 妻が感情を爆発させない | 不満はあるけどギリ爆発しない。程よい沈黙環境。 |
⑥ | 経済的には、別居より断然マシ | 「離婚 or 別居してワンオペ生活+家賃+炊事洗濯」より、今の方が圧倒的コスパ。妻が生活費を一切負担しなくても、実質的な支出は最小限で済み、家族イメージは維持される。 |
結論:
夫にとって、今のままが一番ラクなのである。
これは「熱力学的に安定した準定常状態」でもあり、外からエネルギー(=離婚の意思を刺激する外的要因)を加えない限り、変化しない。
むしろ居心地はどんどん最適化されていく。
このままだと、不倫シタ夫にとっては離婚に向けて動く理由ゼロの静的安定系です。
これは、心理的「慣性の法則」にバッチリあてはめられる!
物体は外力が加わらない限り、静止または等速直線運動を続ける。
モデリング:不倫シタ夫の行動式(運動方程式(ニュートンの第2法則))

これを式変形して、

これに不倫シタ夫の行動を当てはめると、あら不思議

- 動機(不満):触れたくない・一人になりたい・自由空間が欲しい
- 抵抗(摩擦):手続きの面倒・金銭的損失・子ども・妻の反応・社会的体裁
- 心理的質量:結婚年数×子ども係数×情感の残量
→ これらを全部ひっくるめると、加速度 ≒ 0 になる。
つまり、不倫シタ夫は離婚に動きたくても動けない人ではなく、
動く気はある風だけど、そもそも動くほどの力がかかっていない人、といえます。
■ 仮説②:離婚したいけど、動かない心理
◆ 離婚願望 ≠ 離婚行動
これはまさに「ダイエットしたいけど運動したくない」と同じ。
目標(離婚) – 実行意欲(面倒) = 結果(何もしない)
この数式を成立させているのが、不倫シタ夫の中にある以下の3つの惰性要因:
- 感情の慣性:「嫌だ」と言いながら一緒に住んで○○年。情や習慣で居座る。
- 責任の摩擦:「子どものために」と自分に言い訳する。
- 損失回避バイアス:「自由を得るより、今の安定を失うほうが怖い」
■ まとめ:夫の「離婚したい」は、ハッタリ
夫の「離婚したい」は気圧配置のようなもの。
本当に降るかどうかわからないけれど、低気圧の予報だけは出し続けてくる。
私たちができるのは、嵐が来るかもと想定しながら、傘をたたまず準備を進めておくこと。
そして、その時が来たら、淡々と要求を出し、合理的に対応するだけ。

イメージとしては:
- 「離婚したいけど動かない人」=静止している物体
- そこに不満という外力を加えても、抵抗と質量が大きければ動かない
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